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上村松園



今回は長くなります。お付き合いのほどを。
「上村松園展」に行ってきました。
長野市の水野美術館です。(5/27まで開催)

上村松園はご存知 日本画の大家で、美人画で有名ですね。
明治・大正・昭和と活躍しましたが、女性の地位がまだ確立していない時代だったので
その苦労は大変だったようです。
でも強い意志で画業に邁進し、同時代で鏑木清方と美人画の双璧と言われました。
そして昭和23年に、女性で初めて文化勲章を受章しました。
晩年で、何かの宴席だと思いますが横山大観と並んでいる写真がありましたが、凛として
立派な佇まいでした。

松園を初めて知ったのは今から45年前、アサヒグラフの「描かれた日本の女性」特集で
知りました。
「晴日」(昭和16年)という作品が載っていて、若い女性(奥様らしいです)が
伸子(しんし)張りをしている様子を横から描いています。
(伸子張りは着物の反物を乾かすときなどに竹ひごを 耳から耳に掛けて生地を伸ばす
ことです。)
着ている着物は若竹色を薄くした さわやかな色ですが、掛け襟の色が黒で きりっと
しまっていて画面全体に緊張感を与えています。
この人物のきまじめさみたいなものが伝わってきます。
でも髪に桜を挿しているところをみると、お茶目か遊び心がある人物だと思います。
それまで、絵に黒を使うとか、混ぜたりしなくて、色としてそんなに意識したことが
なかったので、この黒にやられたという感じでした。
それから松園に魅かれて画集を買いました。
そうしたら素晴らしい作品ばかりで、本当に好きな画家になりました。
日本文化の良さも感じることが出来ました。
今回、この絵に対面でき、感激しました。

観賞して感じたこと、まず色彩がきれい。
日本の色です。女性ならではの感性の色だと思います。

美人画専門に描いてきましたが、女性視線の作品で優しい気品のある、そして日本の
文化、風俗、季節の良さをしっとり表現しています。
ご自分のことを「私の一生は姉様遊びをして過ごしたようなものです」と言われた
そうです。
着物や和ものの装身具、髷に対する関心が高くよく研究して作品に生かされています。
また、謡曲や能にも親しみ、そこから作品のモチーフにしています。
漢学にも精通し、読書もよくしたそうです。
そこから生まれる独自の世界、素晴らしいです。
季節感も、着物や小物でさりげなく表現し日本の感性です。

もう一つ、線が素晴らしいです。
美しく流麗で、無駄が全然ありません。気持ちがいいです。
力強い線、繊細な線、濃い線、淡い線、自由自在です。
相当、デッサンを積み重ねたことでしょう。
筆のテクニックがすごくて、心と体と筆が一体と言う感じです。

松園は縮図(今でいう描画、デッサン)を大事にしていて、いつも縮図帳と矢立を
持ち歩きスケッチしていたそうです。
師匠や昔の絵を模写もよくしたそうです。
本人は、描き終えた縮図帳をみると、そのものをはっきり思い出すことが出来る、
苦労して描くから把握できる。と言っています。
また筆の訓練にもなったようです。
やはり苦労しなければいけませんね。難しいものこそ逃げないで向き合って描かねば
なりませんね。
下絵も。縮図もすべて墨と筆。どんなに細い線も筆。すごいです。
鉛筆だと消せますが、墨はそうはいきません。集中力すごいです。
下絵は、紙を重ねて描き直したようですが。縮図はそうはいきません。
書き溜めた縮図帳を火災で焼失してしまい、残念な思いをしたそうです。
縮図は命と同じくらい大事だと言ったそうです。

作品のヒントはどのように生まれるのか?についてこう語っています。
(略して書いています)
「床に入ると新聞か雑誌を読み眠気がさしてくる。そして体を伸ばして静かに手を
胸に組んで目をつぶる。
静かにしていると、閉じた目の前に美しい様々な色彩が浮かぶ、昔見た美しいとじ糸が
ついた絵日傘が浮かぶ。
いつか見た絵巻物が鮮やかに展開する。いつか眠りにつきます。一週間もすると、
具体的なヒントになる。」
(現代日本美人画全集1 上村松園 集英社 より参照しました)

これは今までの経験や、修練が蓄積したからこそ生じていることでしょうね。
「私は一日中画のことで頭がいっぱいです」と言っていますので、これはすごいこと
ですね。
何かやるにしても少しでも見習いたいですね。

長くてすみませんでした。

at 18:49, まっちブログ, 工場長 新井

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