詩「不出来な絵」



最近、石垣りんさんの素敵な詩を知りました。
「不出来な絵」という詩です。

その最初の一節を紹介します。
「この絵を貴方にさしあげます
 下手ですが
 心をこめて描きました」

描いた絵を欲しいと言われ、下手な絵だからあげられないと思うのですが、
世間体や見得を気にせず意固地をやめ、あげることにするという詩です。

その絵は、自分の愛している(好きだといっても良いと思います)風景です。
季節が変わっても、時刻が変わってもその対象をことごとく愛していると
うたっています。
その風景には、いろんなものが込められているんでしょうね。
だから精いっぱい心をこめて描いたのだと思います。

これは、単に目の前の風景を描いたのではなく、対象を愛する自分の気持ちを
描いているんですよね。
そのくらい、対象に対する強い気持ち、素直な気持ち、感動の気持ちなど、
絵を描くときに大事にしたいですね。
下手とか上手いとかではなく、心のまま描きたいです。そして誰かにも見て
もらえればなお良いです。絵っていいものです。

「不出来な絵」いい詩です。
その詩全文は、ネットでも見ることができました。
解釈はいろいろあると思いますが、是非 鑑賞してみてください。
詩集「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」に収録されていて、他の詩ととともに
石垣りんさんの世界を知ることができると思いますので手に入れたくなりました。

at 21:51, まっちブログ, 工場長 新井

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雪にもいろいろ



寒くなりました。
本来の冬の寒さと雪が戻ってきましたね。
信州でも雪が降り、雪のイベントができるようになりました。
昨夜、我が家の付近も雪が降り今朝薄っすら積もっていました。

雪にもいろいろな雪があり、表情も豊かです。
日本の風情です。
中原中也の「生ひ立ちの歌」という詩があり、中也の人生の変遷を雪に例えて
うたっています。
雪の状態の比喩が面白いです。
「真綿のよう」「花びらのよう」「いとしめやかに」とか「いとなよびかになつかしく」とか
「なよびか」なんて知らない言葉でした。
雪もこんな風にいろいろ表現できるんだと。
これは中也の心の反映で、鏡なんですね。
そう思うと、自分も雪を見たときどんな風に言葉を発するか。
雪景色を描くときには心の中で、つぶやいて描くといいかもしれません。

皆さんもつぶやいてみてください。
あっ、これって雨でも風でも匂いでもなんでもいいんですよね。
作る絵の具の色が変わってくるかもしれません。

中也は1937年、30歳の若さで亡くなっています。早すぎますね。
「汚れつちまつた悲しみに」はあまりに有名ですが、他にも面白い作品がありそうで
開拓したいです。

at 20:18, まっちブログ, 工場長 新井

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土偶



長野県立歴史館で開催されている「土偶展/中部高地の土偶」に昨日行って来ました。
(展覧会は本日2月2日で終了です)
長野県は全国でも有数の土偶出土地域とされていて、山梨県の出土品と合わせた展覧会です。

日本の土偶は世界に誇る古代芸術であり、独創性に富み現代でも新鮮に私たちの心に響いてきます。
フォルムの美しさ、優れた装飾性、愛嬌とユーモアのある表情に愛して止まない人が多くいること
でしょう。

展覧会を見て改めて思ったのが、土偶は人間ではないそうですが可愛くてキャラクターが
豊富だということです。
日本の文化である現代のかわいい系キャラや漫画、アニメに通ずるものがあるということ。
縄文時代から連綿と続いていたんだと思うと悠久のロマンを感じます。
(以前は平安の鳥獣戯画の頃がルーツと思っていました)

良く知られている縄文のビーナスなどに対し、小さくてより素朴なつくりの落書き的なものが、
ぬくもりがあって面白いです。
どれもほとんど全身ではなく顔が主です。

その中で特に気に入ったものがありました。
パンツ姿のおじさんみたいなものです。笑ってしまいます。どんな偶像?
(松本市エリ穴遺跡の出土なので縄文後期のものになる)
現代にもこんな方いそうです。
思わずニヤッとしてしまいます。作者はどんな人?会ってみたいです。

でもね、土偶って最後は壊される運命なんですよね、壊すために作られる。
そう思うと悲しいですよね。面白ろうてやがて悲しき土偶かな。
今、土偶は人気で そのことがせめてもの供養になっているといいのですが。
見ていると土偶っぽい何かを創作してみたい気持ちになります。
心が和らいだひとときでした。

前回(2020.1.26)のブログ「大河ドラマ麒麟がくるの衣装の色」に対し
コメントを頂きました。ありがとうございます。
イラストはブライトカラーで描きました。
着物の緑はビリジャンにほんの少しブルー(そらいろ)を混ぜました。
濃淡は水の量の差です。
立涌文は最後にポスターカラーの白で描きました。

at 18:23, まっちブログ, 工場長 新井

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大河ドラマ「麒麟がくる」の衣装の色



今年の大河は久しぶりに戦国時代ものですね。
「麒麟がくる」で、明智光秀の物語です。

今までのようなビッグヒーロではないけれど、歴史上の重要な出来事の本能寺の変を起こした
陰のイメージが強い光秀に視点を変えて光を当てた物語なので新鮮だと思います。

第1回目を見て印象に残ったのが、登場人物たちの衣装の色鮮やかさです。
武将というと渋いイメージの色を連想しますが、本当にあんなに鮮やかだったのかなと
思いました。(4K放送のせいもあるのだと思いますが)
戦国の武将100人の肖像画をざっと見ましたが、そんなに派手な色はありません。
(鎧の糸威しの色は除く)
もっとも、正装が多いので当たり前かもしれません。(秀吉の白はどんな意味があるのかな)

番組のホームページに衣装デザイナーの黒澤和子さんのインタビューがありました。
「映像は監督のものだ」という考えで、監督に考えやイメージを聞き、相談しながら
色彩イメージを決めていくそうです。そして登場人物のキャラクターに合わせ落としこんで
いくそうです。
黒澤さんは「戦国時代は日本の歴史の中でも とても派手な色が使われていた時代です」と
仰っています。だからビビッドに設定するのだと。
そうか、知りませんでした。だとすると今までのドラマは演出で抑え気味だったんですね。
今回のドラマは時代考証に忠実な色彩にしているので(キャラに合わせ柄も含め、演出はあるそうですが)、
新鮮な感じで見ることができるでしょう。
こんな感じだったんだーと、あの時代の普段の暮らしのイメージが少し変わりますね。
今の時代より自由だったのではないか。
ドラマにおいても色の役割は大きいです。創作の楽しさも伝わってきます。

上のイラストは1回目放送の光秀(十兵衛) 若いころです。
ブライトカラーで描きました。
着物の緑はビリジャンにほんの少しブルー(そらいろ)を混ぜました。
濃淡は水の量の差です。
立涌文はポスターの白で、最後に描きました

1回目の衣装は若造だからかなり派手な色設定なのか。
青磁色か青緑色か?濃淡を市松模様にはぎ合わせてあります。
この頃の染色ではグリーン系は青(藍)と黄(黄蘗など)の重ね染めが主流だから、同じ染め方に
なるのでしょうね。
柄も立涌文の白抜きで遊び心があります。
光秀の前半生は謎に包まれているそうですが、こんなに明るい人だったのでしょうかね。
面白いです。
今後年を重ねていくにしたがってキャラが変化して。それに合わせどんな色の着物になっていくのか。
その変化も楽しみです。

at 19:03, まっちブログ, 工場長 新井

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冬籠り



冬籠りという言葉があります。
俳句の季語としてはもちろん冬です。

昔の冬は暖房や衣類、交通手段などが現代と違うので厳しかったでしょう。
冬の間は、なるべく外には出ず家の中で過ごしました。
それを「冬籠り」と言います。
動物は冬眠しますが、人間はそうもいかず、それぞれ工夫して過ごしたんで
しょうね。
好きなことして、じっと春を待てればいいですね。

残された俳句に下記のようなものがあります。
「冬籠りまたよりそはん此のはしら」芭蕉
家の中の特定の柱でしょうか、毎年その柱に寄りかかって何かをしたり
考えたりして時を過ごすという意味ですかね。

「読みちらし書きちらしつつ冬籠り」山口青邨
思いつくまま、手のつくまま好きなことをしてか、今までできなかった
ことをあれもこれもといった状況ですか。

寒い冬ですが、逆に季節に対する愛情というか、仕方ないかといった寛容さが
伝わってきます。自然を愛でる日本の心。
便利になりすぎた現代ではなかなか そんな風に思えませんですが、少しでも
そんな境地になれればいいですね。

今年は暖冬で温かいですが、まだまだ冬は長いです。寒くもなりましょう。
冬籠りも悪くないです。
読書三昧、録画三昧、絵手紙三昧、落書き・デッサン三昧など楽しみましょう。

at 17:39, まっちブログ, 工場長 新井

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紙ねずみ




キーツの紙ねずみ。完成図

今年はねずみ年ですね。
ねずみは「ぐりとぐら」など絵本にも沢山登場し人気の動物ですよね。
ジョン・バーニンガムの「TRUBLOF」と言う絵本にもねずみが出てきてバラライカを
弾いています。色彩、構成、タッチが素晴らしいです。(フランス語版を持っています)
人間にとってちょっと遠ざけたい存在ではありますが、絵本になるということは身近で
愛らしい存在なのでしょうかね。
そういえばミッキーマウスもジェリーもトッポジージョもみんなねずみですよね。
何が引き付けるのでしょうかね。1年かけて調べ考えてみようかな。

絵本でもう一つ思い出すのはエズラ・ジャック・キーツの「ゆめ」があり、その中に
紙で作ったねずみが出てきます。(好きな作家さんです)
昔の絵本の雑誌でキーツさんのインタビューの中に、その紙ねずみの作り方が紹介されていました。
円錐と、平面のパーツを組み合わせて作っていました。(上のイラスト/完成図です)
これは面白い、ちょっと真似して自分なりに紙で簡単にできる作品ができないかと思い、いろいろ
作って見ました。(LONG LONG TIME AGO のことです)
紙で円柱と、平面のパーツを組み合わせ「タヌキ」「ブタ」「ナポレオン」など作りました。
(まだとってあります)
なつかしくなり、同じ手法でねずみを作ってみました。
上の写真がそれです。
彩色はベイシックカラーです。

紙を切ったり、貼ったり、塗ったりは楽しいもんです。
絵とは違う立体の面白さがあります。
皆様、是非今年何か立体作品も試してみてください。
誰かにプレゼントしても喜ばれるかもしれませんよ。

at 21:40, まっちブログ, 工場長 新井

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2020年あけましておめでとう



あけましておめでとうございます。
2020年もよろしくお願いいたします。

今年も品質の高い商品を皆様にお届けできるよう従業員一同
頑張ってまいります。
どうぞ、変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。

令和になって新しい時代の風が吹くよう、何か新しいことに
チャレンジしていきたいですね。

皆さまにとって良い年になりますよう心からお祈り致します。

at 17:49, まっちブログ, 工場長 新井

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ありがとう2019年



今年も暮れていきます。
早いですね。
今年は新元号の始まった年でもあり、特に早く過ぎた感じがします。
良いこともありましたが、暗いニュースも多い年でした。
来年は明るいニュースが沢山聞ける年であってほしいと切に思います。
特に被災地の皆さんには、早く平穏な日が戻ることを願っております。
長野県も台風被害があり、お客様から温かいお見舞いのメールも頂きました。
大変ありがたいことです。
幸い、弊社は被害がなかったのですが、被災地を思うと心が痛みます。
年が明けて世の中に明るい兆しが見えてくるといいですね。

今年も、弊社の製品を沢山のお客様にお使い頂き、大変有難く思っています。
また、多くのお問い合わせや、嬉しい評価も頂戴し従業員一同大変励みになっております。
このブログにも嬉しいコメントがあり、力を与えてもらっています。
来年もお客様に喜ばれる商品を製造していきますので、なにとぞよろしくお願いいたします。

at 17:24, まっちブログ, 工場長 新井

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聖ニコラウス





もうじきクリスマスですね。
毎年、クリスマスについてこのブログに書いていますが、そろそろネタ切れ気味です。

サンタクロース、やさしくて、暖かくて、ほのぼのして 安心感があります。
プレゼントしてくれるお爺さんとして小さな子供たちには絶大な人気でしょう。
そのサンタさん。
モデルとなった人物がいますね。(詳しくは2016年12月25日のブログで)
昔、現在のトルコにいた司教の聖ニコラウスです。
慈善行為に励み、困った人々を救ってきました。
言い伝えでは、まさにミラクルで神話の世界。
暴風雨を鎮めて船を救った、塩漬けの子供を生き返らせた、など。
貧しい男の娘3人を救うため、窓から黄金が入った袋を投げ入れたなど。
後者はあっても不思議ではない話です。
その時に靴下に入ってしまった話もあり、それが現在のプレゼント受けの
靴下になっているそうです。

この情景、マサッチオが1426年にテンペラ画で描いています。
(タイトルは聖ニコラウス伝)(この絵では靴下は見当たりません)
父親と娘3人、途方にくれています。そこに彼のニコラウスさんです。
窓から まさに投げ入れようとしています。
こんな風に絵に残されるということは、かなり慕われて、ヨーロッパ中に
広く知られた人物なのでしょう。

日本にも、こんな人いたかなと思い浮かべてみましたが、・・・いません。
良寛さんや鴨長明さんは清貧を是として、持たないようにしていたので金貨など無理無理。
お金を投げ入れるのなら、ねずみ小僧次郎吉ですか。
でも次郎吉さんは義賊。盗んではいけませんですね。
結局、日本にはいません。思いつきませんでした。

今日、サンタクロースでクリスマスが盛り上がるのは昔の聖ニコラウスさんの
善行のおかげです。
現代でもこんな風に世界に愛され、平和を引っ張る人物が現れるといいですね。

下のイラストは弊社のクリスマスカードです。
ベイシックカラーで描いています。

at 22:44, まっちブログ, 工場長 新井

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年の瀬に散髪



年の瀬ですね。
何かとあわただしく落ち着かないですね。
世の中がそういう雰囲気です。

昔の年の瀬はどうだったでしょう?
「門」という夏目漱石の作品があります。
事情があって世間と距離を置いてひっそり暮らしている夫婦の話です。
内容は事情が事情だけにちょっと暗い話です。

その中に年の瀬で、主人公の宗助が床屋に行く場面があります。
店が混んでいて、宗助はハサミの音がせわしなく感じました。
表通りの年越しの活動(世間の年末の喧騒のことだと思います)のせいで、
ひっそり暮らしている身にとっては そう感じたのです。
やはり、その時代も世間はあわただしかったようです。
(明治42年の新宿区/早稲田らしいです)

漱石の小説には床屋さんが多く出てくるそうです。
漱石は床屋さんが好きだったんでしょうかね。
いつも気持ち良さそうに寝ていたそうですよ。
リラックスできるところだったのだと思います。

こんな俳句があります。
「年の瀬や漕がず楫せず行くほどに」(小西来山)
そうです、どんな暮らしをしていても、年の瀬はやってきます。
そう思って、少しは泰然としてなるべくゆったり過ごすようにしたいものです。

年も明けるし、床屋(美容院)さんで散髪(カット)でもして、さっぱり
リラックスするのもいいかもしれません。
(床屋さんは大変ですけど。感謝の気持ち忘れずに)
皆様、年末疲れ なさいませんように。

at 17:59, まっちブログ, 工場長 新井

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